火曜日

F650GS アイドル不良対策、スロットル周りをイジった後の再キャリブレーション

追伸2021年10月

長いことRotax650に乗ってきて、WEB読み漁っては色々試行錯誤やっていましたが、今現在、燃調を正しくするには、結論的には、

1.メカ的にきちんと整備して、正しい乗り方(いつも3000回転ほど回して乗る)を続ける
もしくは、
2.GS-911などで強制的に設定をクリアし、ISC制御を再学習(補正)させる
の2択に見えています。

これまでの経験から、日頃の通常運用でも、追加学習機能はあるように感じています。不調のバイクを手に入れた後、きちんと整備して長いこと乗り続けていると、チョットずつ安定した回転に変わっていくのを実感しているからです。これは14年式のBMS-E搭載機もBMS-C搭載機も同じでした。ただ、一朝一夕で変わるようなものではないみたいです。

コンピューターをリセットするとこれは文句なしに再学習するようです。BMS-C2搭載機は、F6でもG6でも、アリババでも売っているGS911で機能するようです。
ここ数年弄ってきて、インジェクション車が燃調不良になる最大の原因は二次エアの吸い込みです。Rotax650はマニホールドのバンド締付け不足で顕著に出ます。自分は、カツンカツンに締め込む代わりに、常に高耐熱液体パッキンを塗っています。スロットルの付け根がガソリンでグダグダになっていたら、それは多少なりとも吹き抜けている証拠ですので、しっかり処置しましょう。しっかり閉じていれば、スロットル外壁はガソリンで汚れません。

スロットルの付け根がGASでグダグダになっていたらバンドを締める

ここは、当たったら(二次エア吸って不調のとき)劇的に効きます。
経験的には、結構カンカンに締めないとここから吸う感じです。

バンドを締め込むには、7mmのBOXが要ります。
バンドを締めたらパーツクリーナー等できれいに洗浄し、
後日改めて確認してみてください。
汚れるのが止まったら、そのまましばらく乗っていてみてください。
だんだん燃調がマトモに変わっていくはずです。
(一番良いのはGS911などで強制的に設定リセット)

ーー (以下、過去LOG) ーー

(ここ、アクセス多いみたいなので、その後色々やってきて分かったTIPS追記。アイドルが不安定だったり、回転がスムースに上がらない場合、キャリブレやる前に、スロットルボディとインテークマニホールドの結合部のバンド締め直してください(スロットルの下側です)。カンカンに締める必要は無いですが少しキツめに。ロータックスシングルの場合、ここの隙間から二次エア吸って不調になるケースが殆どです(F6→G6→G6と3台乗ってきてます。締めが緩いとほぼなる。ここの工作精度悪そう。さすがデロルト、イタ製品…自分は最近はキツく締める代わりに、ここに液体パッキン塗っています)。バンドは7ミリのボックスドライバーがあれば分解しなくてもシートの隙間から締められます。その後キャリブレやります。エンジンが冷えているときに始動し、アクセル触らずに冷却ファンが二回回るまで放置すれば完了します。これでだめなら何か他に故障が発生しています。IACとか燃料ポンプとかバルブクリアランスとかインジェクターを触ったとか、エアクリ交換したときは、微調整という意味でこのキャリブレやり直したほうが良さげです。劇的に体感できるほど変わりませんが)

先だってスロットル周りを清掃したわけですが、実はその直後エンジンは絶不調になりました。アイドルが不安定になり、暖気中回転数がフラフラしたり、スロットル操作すると突然ストップしたりアイドルが突然3500rpmになったりしていました。

(→ スロットル締結が甘かったためです)

結論から言うと、長時間バッテリーを外して作業をしたためコンピューターのRAMが飛んで調整値が飛んでおかしくなったようです。なので再調整が必要になりました。再調整後はアイドルは弄る前と同様に安定化しました。

整備時に長時間バッテリーを外してコンピューターの設定値を飛ばした場合はもちろんですがTPS(Throttle Position Sensor)周りをいじった時と、IAC(Idle Air Controller)もしくはスロットルのエア通路周りをイジった時もコンピューターの再設定(ほんとうの意味でのリキャリブレーション)が必要になる模様です。

左がTPS、右がIAC

TPS故障時以外、TPSをイジることは無いはずです。ですが、TPSが故障するなんてまずありえません。経験上興味本位でTPSをイジるとハマります。ろくな事になりません。R1100RSで懲りました。ただ、R1150RS以降TPSキャリブレーション機構が搭載されたので、イジってもキャリブレーションさえ行えば滅多な事にはならなさそうです(キャリブレーションのないR1100RSなどはイジるとホント大変なことになります。BMWマニュアルでも、絶対にイジるな、工場以外で調整不能…と書いてあります)
IACはオートチョークを備えたインジェクション車に搭載されています。IACはアイドルエア通路になっていますので汚れが溜まるとアイドル不調の原因になります。バイクの扱い次第では汚れ、詰まりなどが発生する可能性はあります。なのでアイドル不調時に清掃すれば復活するのかというと、そうは問屋がおろさなかったというのが今回の話です。

TPSの再キャリブレーション
> キーオンし、スロットルの全閉>全開を3回繰り返してキーOFFするらしいです。

(→ レンジ覚えるのにこの操作?海外のスレッドにはそういう記述ありますがエビデンス不明。R1100はテスターでTPSのゼロ点設定。1150系はツールで全閉時の電圧見てるぽい。R1200以降は…知らない)

IACの再キャリブレーション
> スロットルを触らずにエンジンを冷間スタートし、ラジエターファンが回るまでスロットルを一切触らずに放置し、その後キーOFFするらしいです。このプロセスの中でコンピューターはIACの最適制御値を再設定するらしいです。

(IACというか、インジェクションのテーブル直しているぽい)

で、素直にその通りしたましたところ、コールドスタート〜温間時までアイドリングが安定するようになりました。

バッテリーを外してどのくらい放置すると設定値が飛ぶのか諸説あってよくわかりません。明示的にリセットしたければディーラーへ依頼するか、GS-911を買ってきてダイアグコネクターに繋いで行うかのいずれからしいです。簡易的方法についてWEBでいろいろ言われていますのはバッテリーを外した後、ハーネスの正極と陰極を一晩ショートさせておけとか、シート下にあるコンピューターのコネクターを一晩外しておけなどがあります。

F650GSのエンジンスタート方法についてはあちこちで言われていますが、どうやら真面目に手順を守る必要がありそうです。キーオン後すぐエンジンをかけるのは絶対ダメですし、起動時にスロットルを煽るのも厳禁とあります。どうやらこの時コンピューターがいろいろなセンサー値を読んで設定値にフィードバックしているからというのがその理由です。

(これは本当。BMのサービスマニュアルにも書いてあります。G6だとキーオンでスピードメーターが一回振れるのですが、その時、(冷間時に)性急に始動すると調子悪くなります。やっちまったら、エンジン切って10秒ほど放置、キーオンして暫く待って始動しましょう。エンジン温まっているときはまぁ大丈夫ですが。キーオン時が味噌で、エンストしたときなどはそのまま始動して問題なさげです)

もしアイドル不良やエンジンストールに悩んでいるのであれば、ダメもとでスロットル周りをオーバーホールし、コンピューターの再設定を行ってみてはどうでしょうか。

(→ インテークマニホールドのバンド締めて再キャリブレ)

(因みにこの辺りのトピックは日本語ソースはほとんど有りませんが、海外ソースを探しますとワンサカ出てきます)

(→ どっか欧州のBMディーラー向けのサービスのTIPSにも、マニホールドのバンド締めてキャリブレしろって明確に書いてありました)

ちなみに、GS-911の仕様には、以下の機能が入っている模様。要は何かしたらガス供給系を弄ったらリセットせよってことですね。燃料ポンプも交換したらやったほうが良いと思いますが...


Reset all adaption values at once (throttle-valve zero position, idle regulator, lambda control)
replacement of:
-control unit
-engine
replacement/removal of:
-throttle-valve air intake
-Throttle-valve potentiometer
after other changes in the throttle-valve area (idle stop screw, throttle cable etc.)


Reset individual adaptation values

replacement of:
-injector
-electric fuel pump
-fuel pressure regulator
-fuel filter
after rectifying faults in:
-air supply system (e.g. contaminated air filter etc.)
-lambda closed-loop control (e.g. O2 sensor replacement)
ややこしい時代になってきました。見よう見まねて機械だけいじるとハマるってことですね。
おそらくコレ以降のBMWはもっと酷いこと(≒コンピューターと密接)になっていると思います。

月曜日

F650GS 足回りオーバーホール

リアサスのリンクなどチェックしてみます。巷ではここの構造はあまり評判良くないです。旧型のGSなどは雨水がベアリングに入り込んでグズグズになっているのもあるとか。ここばかりは開いてみないとどうなっているかわかりませんので開けてチェックします。

リアサスのリンクはここです

最初にストラットの下側を外します。

センターを立て、浮いたリアタイヤ下にかましものをしてからストラットのネジを外します。リアホイルの荷重がストラットに掛かったままですとネジが外しにくいです。

ストラット固定ボルトの反対側はナットが入っていませんがこれで正常です。ストラットに雌ねじが切ってあります

ストラットが外れました

スイングアームからアングルへ伸びているテンションストラットの下側を外します。ここは結構に固いです

ボルトを引き抜きます

ここには一応ダストカバーが入っています

ダストカバーの裏にベアリングは居ます


アングルをフレームに固定しているボルトを抜きます

アングルが外れます

思ったほど錆びていませんでした


リアサス側

※ ベアリングは円柱状の物がたくさん詰めてあるだけです。ベアリングリテーナーは有りませんのでインナーベアリングを抜くときは要注意です。この円柱状のものをポロポロ地面へ落として紛失したら大変なことになります。サスペンションストラット受け部とフレーム接続部のベアリングはこのようなタイプのベアリングですのでバラすときは要注意。

アングルとテンションストラットの接続部分にはリテーナーの入ったベアリングが使われています

ベアリングインナーレースです。

オイルシールの外側に出ている部分はグリスが切れますと錆びる可能性があります

案の定、オイルシール外側部分はサビが発生していました。

ベアリングの当たる部分は無事でしたのでサビを落として再利用します。

ベアリングを清掃し、グリスを再充填したらインナーレースを挿入し、このように紐で芝居って起きます。特にストラット部とフレーム固定部はベアリングリテーナーが入っていませんので、アングル取付中にインナーレースが抜けてベアリングの球が溢れないようにします。

テンションストラットのスイングアーム側にもベアリングが入っています。

ここもインナーレースを抜き、ベアリングをチェックし、清掃してグリスを再充填しておきます。

ポン、バラした逆順で取り付けると出来上がり

締付けトルクです(N/m)

しかしなんでやねんという感じのボルトサイズが使われています。ヘッド16ミリとか18ミリとか、勘弁して!ちゃんとBOXソケットを準備しておかないと、トルクレンチが使えないです。


日曜日

F650GS メーターランプ、球切れ

まぁ最初っからなのですが、メーター照明の球が切れておりましたので、ようやく交換です。

いったい何回このネジを外せばいいんだ…

メーターユニットを外す

ライトハウジングをずらしてメーター裏から手を回し、クリップ3箇所外しますとメータユニットーはカウルフレームから外れます。

こいつだ…

メーターユニット裏から狙ったバルブをコネクターごと引っこ抜きます。

一個700円!!

ボッタクリですねBMW。ディーラーで買わなきゃよかった。

うーん、直った感じ

夜確認、直ってる!

なんか、夜に光るメーターを眺めているといざなわれてしまいます…

F650GS スロットルのオーバーホール(というか、取り外して洗浄)

昨日は出撃前にパイロットエア・アクチュエーターを掃除しただけでした。昨日の作業でだいたいバラすコツを得ましたので今日はスロットルをオーバーホールします。

エアクリとオイルタンクの結束を外します

エアクリ固定ボルト2本を外します

バッテリーバンドを外します

エアクリBOXとエアインテークの結束を外します

ちょうど隙間にエアフィルターは挟まっています

エアインテークの吸気温度センサーをコネクタを外します

この後エアインテークを取り外し、エアクリBOXを左右に数回回しながら引き上げればエアクリBOXはスロットルから外れます。エアクリBOXとエンジン間のブリーダーは取り外さなくても構いません。エアクリBOXをフレーム右側にダラリとぶら下げておけばOKです。

IAC(ISCとも言う)のコネクターを外します
 
TPSのコネクタを外します

インジェクターのコネクターを外します

インジェクターを外します

スロットルワイヤーのタイコを外します

スロットルワイヤーを外します

ロックナットを緩めれば外れます

スロットルボディとエアインテークマニホールドの結束バンドをゆるめます。ここは7mmのBOXが必要です。以前からRSで使っていた工具が使えました

目一杯緩めておきます

左右に数回こじればスロットルボディは外れます
 
取り外したスロットル
 
インテーク側は綺麗でした

昨日パイロットエア・アクチュエーター内がかなり汚れていたのでもしかして吹き返しがひどいのかなと思っていましたが、インテークマインホールド内はきれいなものでした。おそらくまだインテークバルブのオイルシールが機能してオイルの吸い出しを防止しているのでしょう。
大排気量バイクの場合、最大エンジン出力近くをほとんど使いませんので通常走行状態でもインテークマニホールド内は相当な負圧になっています。走行距離がかさんでバルブステムシールが逝かれてくるとインテークバルブのすとガイドのスキマからエンジンオイルが吸いだされてインマニ内部はオイルでグダグダになります。

この際ですので、キャブレタークリーナーとパーツクリーナーを併用して徹底的に洗浄します。

絶対に触ってはいけないポイント➀、バタフライストッパー

ここはアイドリングを調整するものでは有りません。ここをイジってもコンピューターがムリクリ1500回転へ戻そうとして変なことになります。コンピューターはクランクからパルスを拾っているので、騙そうとしてもうまく行かないです。最終型F6のアイドリングは1500回転とビッグシングルにしては高いので下げたくもなりますが、コンピューターをいじる以外に下げる手立ては有りません。期待した結果は得られず調子だけが悪くなります。ちなみにこのエンジン、1400回転以下ではピックアップなども含めてマトモに回らないようです。やるならフライホイールマスを足すとかそういう基本的な所から手を下す必要がありそうです。残念ながらこの高回転型Rotaxエンジンに、ビッグシングルらしい鼓動を求めるのは本質的に無理っぽいです。

絶対に触っていはいけないポイント➁、TPS

イジったら嵌ります。やらないが吉です。O2センサーのないオープンループ制御時代のバイクならここをイジって空燃比を濃い目とか出来ましたが、いまはクローズドループになっているので意味無いです。ちなみに最終型F6のBMS-C2コンピューターは4500回転まではクローズドループをやっています。それ以上の領域だと効果が出る?でもここ弄ったらTPSのキャリブレーションやらないといけないので結局元の木阿弥です(きっと)。

バタフライの近所も清掃

バタフライとスロットルボディ隙間を綺麗にしておくのは大事。

パイロットエア通路もジャンジャン洗浄します

この絵柄だと、パイロットエアーは真ん中のホール奥側から入ってきて、左側の側道を通ってインマニ内へ抜けていきます。IAC(Idle Air Controller)というかISC(Idle Speed Controller)のバルブが真ん中のホール内に頭を突っ込んでいるわけですが、そこをエンジンの温まり状態とO2センサー出力を見ながらアクチュエーターが操作し、パイロットエア量を制御してアイドル速度をコントロールしています。イマドキのオートチョークの付いた自動車もみな同じようなことをやっているのですが…

インジェクターホール、ピカピカ

まぁ、インジェクターは直接インマニ内へガスを吐きますので、ここが綺麗とか汚いとかはあまりエンジンの調子には関係ないです。


ただし、インジェクターホールの上っ側(外側)はインジェクターがOリングでシールされており、ここが汚いと隙間からエアを吸って調子はおかしくなることがあります。ここはいつも綺麗でないとなりませんし、Oリングが固めに嵌っていないとまずいです。この部分が雨ざらしのR1100RSなどはこのホールが錆びている物が時々あります。

インジェクターは綺麗でしたので放置

インマニは漏れたガソリンが固着してドロドロ

キャブレタークリーナーを布に染み込ませて丁寧に固着したガソリンを拭きます。

キャブレタークリーナーを金属以外の物にスプレーしますと近所の樹脂やら塗装類が溶け出します。スプレーするときはパーツクリーナーにしておいたほうが良いです。
それにしても、インテークマニホールド内がびっくりするほど綺麗でした。バルブステムシールがやられるとここは吸いだされたオイルでグダグダになります。バルブステムシールがまだ生きているってことですね。

このホールにゴミやら部品やらを落とすと大変なことになりますので、他の作業などする場合はこの穴をウエス等で塞いでからやったほうが良いです。落としたものはインテークバルブのところまで直行しますので。いつ見てもダウンドラフトのキャブ(スロットル)弄りはヒヤヒヤします。自動車はダウンドラフトのキャブが多かったですが、通路に落下防止の金網などが入っているものもありました。

ヘッド周り洗浄

過去のオイルタンクからのオイル漏れでシリンダーヘッド周りがオイルが焼き付いてグダグダになっていましたのでパーツクリーナーを惜しげも無く吹きかけてオイル汚れを洗浄します。

インジェクター。

ガソリンホースがつながっているとちょっと作業がしづらいですが、外しますとガソリン漏れます。またホースをインジェクターに繋ぐとき、ホースのロック金具をいい加減につなぎますと走行中に外れます。ガソリンはポンプで3BARくらいまで加圧されていますので、外れると噴水状態になります。火達磨になる可能性もありますので自信がないなら外さない方が吉です。走行中ガソリン吹き出したら速攻でエンジン切って燃料ポンプを止めましょう。

以前RSで走行中にガソリンホースが外れたことがありました。きっと直前の整備でいい加減にホースを取り付けていたのでしょう。幸い着火はしませんでしたが慌てました。水平対向エンジンのRSは構造的にインジェクターが左右むき出しですのですぐに繋ぎ直すことが出来ましたが、F6は出先で外れたら洒落にならんほどめんどい作業が待っています。

外した逆順で乗せていけば出来上がります

最後にエアクリ乗っけてオシマイ

RH975 ナイトスター グリップヒーター付けたいが…

手が冷たいのでグリップヒーター付けたいなと思い、キジマ製のグリップを純正スロットルコーンにカチ込むタイプ(温調が別体になってるタイプ)を入手したのですが、スロットル側のグリップ内径が小さくてハーレー純正スロットルコーンは入らないです…残念。速攻で返品となりました。しかしこの設計無...