日曜日

F650GS スロットルのオーバーホール(というか、取り外して洗浄)

昨日は出撃前にパイロットエア・アクチュエーターを掃除しただけでした。昨日の作業でだいたいバラすコツを得ましたので今日はスロットルをオーバーホールします。

エアクリとオイルタンクの結束を外します

エアクリ固定ボルト2本を外します

バッテリーバンドを外します

エアクリBOXとエアインテークの結束を外します

ちょうど隙間にエアフィルターは挟まっています

エアインテークの吸気温度センサーをコネクタを外します

この後エアインテークを取り外し、エアクリBOXを左右に数回回しながら引き上げればエアクリBOXはスロットルから外れます。エアクリBOXとエンジン間のブリーダーは取り外さなくても構いません。エアクリBOXをフレーム右側にダラリとぶら下げておけばOKです。

IAC(ISCとも言う)のコネクターを外します
 
TPSのコネクタを外します

インジェクターのコネクターを外します

インジェクターを外します

スロットルワイヤーのタイコを外します

スロットルワイヤーを外します

ロックナットを緩めれば外れます

スロットルボディとエアインテークマニホールドの結束バンドをゆるめます。ここは7mmのBOXが必要です。以前からRSで使っていた工具が使えました

目一杯緩めておきます

左右に数回こじればスロットルボディは外れます
 
取り外したスロットル
 
インテーク側は綺麗でした

昨日パイロットエア・アクチュエーター内がかなり汚れていたのでもしかして吹き返しがひどいのかなと思っていましたが、インテークマインホールド内はきれいなものでした。おそらくまだインテークバルブのオイルシールが機能してオイルの吸い出しを防止しているのでしょう。
大排気量バイクの場合、最大エンジン出力近くをほとんど使いませんので通常走行状態でもインテークマニホールド内は相当な負圧になっています。走行距離がかさんでバルブステムシールが逝かれてくるとインテークバルブのすとガイドのスキマからエンジンオイルが吸いだされてインマニ内部はオイルでグダグダになります。

この際ですので、キャブレタークリーナーとパーツクリーナーを併用して徹底的に洗浄します。

絶対に触ってはいけないポイント➀、バタフライストッパー

ここはアイドリングを調整するものでは有りません。ここをイジってもコンピューターがムリクリ1500回転へ戻そうとして変なことになります。コンピューターはクランクからパルスを拾っているので、騙そうとしてもうまく行かないです。最終型F6のアイドリングは1500回転とビッグシングルにしては高いので下げたくもなりますが、コンピューターをいじる以外に下げる手立ては有りません。期待した結果は得られず調子だけが悪くなります。ちなみにこのエンジン、1400回転以下ではピックアップなども含めてマトモに回らないようです。やるならフライホイールマスを足すとかそういう基本的な所から手を下す必要がありそうです。残念ながらこの高回転型Rotaxエンジンに、ビッグシングルらしい鼓動を求めるのは本質的に無理っぽいです。

絶対に触っていはいけないポイント➁、TPS

イジったら嵌ります。やらないが吉です。O2センサーのないオープンループ制御時代のバイクならここをイジって空燃比を濃い目とか出来ましたが、いまはクローズドループになっているので意味無いです。ちなみに最終型F6のBMS-C2コンピューターは4500回転まではクローズドループをやっています。それ以上の領域だと効果が出る?でもここ弄ったらTPSのキャリブレーションやらないといけないので結局元の木阿弥です(きっと)。

バタフライの近所も清掃

バタフライとスロットルボディ隙間を綺麗にしておくのは大事。

パイロットエア通路もジャンジャン洗浄します

この絵柄だと、パイロットエアーは真ん中のホール奥側から入ってきて、左側の側道を通ってインマニ内へ抜けていきます。IAC(Idle Air Controller)というかISC(Idle Speed Controller)のバルブが真ん中のホール内に頭を突っ込んでいるわけですが、そこをエンジンの温まり状態とO2センサー出力を見ながらアクチュエーターが操作し、パイロットエア量を制御してアイドル速度をコントロールしています。イマドキのオートチョークの付いた自動車もみな同じようなことをやっているのですが…

インジェクターホール、ピカピカ

まぁ、インジェクターは直接インマニ内へガスを吐きますので、ここが綺麗とか汚いとかはあまりエンジンの調子には関係ないです。


ただし、インジェクターホールの上っ側(外側)はインジェクターがOリングでシールされており、ここが汚いと隙間からエアを吸って調子はおかしくなることがあります。ここはいつも綺麗でないとなりませんし、Oリングが固めに嵌っていないとまずいです。この部分が雨ざらしのR1100RSなどはこのホールが錆びている物が時々あります。

インジェクターは綺麗でしたので放置

インマニは漏れたガソリンが固着してドロドロ

キャブレタークリーナーを布に染み込ませて丁寧に固着したガソリンを拭きます。

キャブレタークリーナーを金属以外の物にスプレーしますと近所の樹脂やら塗装類が溶け出します。スプレーするときはパーツクリーナーにしておいたほうが良いです。
それにしても、インテークマニホールド内がびっくりするほど綺麗でした。バルブステムシールがやられるとここは吸いだされたオイルでグダグダになります。バルブステムシールがまだ生きているってことですね。

このホールにゴミやら部品やらを落とすと大変なことになりますので、他の作業などする場合はこの穴をウエス等で塞いでからやったほうが良いです。落としたものはインテークバルブのところまで直行しますので。いつ見てもダウンドラフトのキャブ(スロットル)弄りはヒヤヒヤします。自動車はダウンドラフトのキャブが多かったですが、通路に落下防止の金網などが入っているものもありました。

ヘッド周り洗浄

過去のオイルタンクからのオイル漏れでシリンダーヘッド周りがオイルが焼き付いてグダグダになっていましたのでパーツクリーナーを惜しげも無く吹きかけてオイル汚れを洗浄します。

インジェクター。

ガソリンホースがつながっているとちょっと作業がしづらいですが、外しますとガソリン漏れます。またホースをインジェクターに繋ぐとき、ホースのロック金具をいい加減につなぎますと走行中に外れます。ガソリンはポンプで3BARくらいまで加圧されていますので、外れると噴水状態になります。火達磨になる可能性もありますので自信がないなら外さない方が吉です。走行中ガソリン吹き出したら速攻でエンジン切って燃料ポンプを止めましょう。

以前RSで走行中にガソリンホースが外れたことがありました。きっと直前の整備でいい加減にホースを取り付けていたのでしょう。幸い着火はしませんでしたが慌てました。水平対向エンジンのRSは構造的にインジェクターが左右むき出しですのですぐに繋ぎ直すことが出来ましたが、F6は出先で外れたら洒落にならんほどめんどい作業が待っています。

外した逆順で乗せていけば出来上がります

最後にエアクリ乗っけてオシマイ

13 件のコメント:

  1. こんにちわ、初めまして。私はf650gsシングル乗りのhidamarinokagerouと申します。
    私は、いずれはスロットルからエンジンコンディショナーなど吹き込んで、スロットル以降の清掃を考えています。そこでお尋ねですが、当該車にいわゆるエアフロセンサーは付いていますでしょうか。このセンサーはクリーナー等がかからないようにと言われていますので、慎重にと考えていますが、そもそも装備されているのかどうか知りたいと思いました。
    もし、装備されているなら、どのあたりかご教示いただけないでしょうか。
    よろしくお願い申し上げます。

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  2. はじめまして、稚拙なブログですいません。
    F650GSシングルのスロットルにはエアフローセンサーはついていません。ついているのはTPSとIAC(アイドルエアコントローラー:キャブ車て言ったらパイロットスクリューに相当)だけです。IACは外してパーツクリーナーで洗浄しても大丈夫です(パイロットエア通路なので結構汚れます)。ただしTPSは外さないほうが良いです(自分も外したことありませんし、そもそも汚れませんので。一応キーオン時にコンピューターがTPS位置のキャリブレをやっている説あり。ゆえにキーオンからエンジン始動までの間、絶対にスロットルを触るなというおフレも出ていますが…)。エア流量の測定(推定)はTPS(スロットルポジションセンサー)とO2センサー(ラムダセンサー)のフィードバックでA/F比推定カーブをキャリブレーション操作によってコンピューターが自動生成します。このキャリブレーション(カーブ推定)は自動ですが、キャリブレーション動作は明示的に行わないといけません。キャリブレーションのやり方はBMWが出しているリコールマニュアルに明記されています(F6もG6も手順は同じです)。
    https://ytakemc.blogspot.com/2018/08/g650gs_3.html
    もしスロットル周りの何かを外した(変えた)ならキャリブレーションは必ずやったほうが良いです。BMWの整備マニュアルではエアクリーナーを交換しただけでもやれって書いてあります(エア流入抵抗が変化するからなのだと思います)。経験上、吸気系をバラすと必ずバランス狂いますし、キャリブレをやりますとびっくりするほどマトモになります。お試しください。あと、スロットルとインマニの締結バンドはカンカンに締めておく事をオススメします。適当に締めていると結構な確率でエアを吸って、キャリブレに失敗します。キャリブレがビシっときまったときはエンジンがちんちんにやけてもアイドル不整脈は出ません。

    が、スロットルがエンジンについた状態でエア通路に上から液体などを吹きかけないほうがいいです。F6はダウンドラフトなので、上から何か入れるとゴミも含めて全部シリンダー内に流れ込みます。やるならスロットルをエンジンから分離して単体でやられたほうがよろしいかと。

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  4. hidamarinokagerouです。
    早速のお返事、ありがとうございます。
    私のF6ですが、最近、スロットルを開けた瞬間、わずかにエンジンが息つくというかバラつく感じがあり、清掃を思い立ちました。IACについて本ブログに詳細な記載がありますので、チャレンジしてみます。(アイドリングも悪いわけではないですが、一層安定するかもしれません。)
    また、エンジンをかけながらクリーナーを吸入させたいのでダウンドラフトの件は、悩みます。
    キャリブレーション動作については参考になりました。
    丁寧なご教示ありがとうございました。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。

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  5. 当方一番効いたのはIACキャリブレーションとインマニのバンド締め込みです。IACは清掃したら調子が悪くなりましたが、その後キャリブレーションやり直しで復活しました。調整がきちんと出ていてもなる様でしたら燃料ポンプとか燃料フィルターとかインジェクターあたりかもしれません。ちなみにこれら燃料系を交換もしくはバラしたときもキャリブレーションをやりなさいとマニュアルには書いてあります。燃圧とか吐出量が変わるからだと思います。

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  6. 全開、全閉のキャリブレーションについては、R1150GS時代にやったような記憶があります。それ以外にもファンが回るまでというのもあるんですね。
    高回転高出力時には、何のストレスもないことから、ポンプやフイルターは大丈夫かと思っていますが、インジェクターの先端には興味があります。
    やっぱり、ストットルボディは取り外した方がよさそうですね。

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  7. 全開~全閉のTPSキャリブレは1150から入りましたね。その前の1100はTPS調整が大変でした(弄るなって書いてありました)。F6はキーオン時に毎回TPS全閉電圧をチェックしているらしく、故に始動時にスロットルに絶対触るな…になっています。ファン回るまで放置…は、BMW的にはIAC Adoptionという操作らしく、恐らくこの時A/F制御カーブを作成していると思われます。ワタシもファン2回というのは最近まで知りませんでした(G6ではそうなっていました)。一度スロットル周りを全バラシ(TPS以外)して清掃し、IACキャリブレーションをやってみてはいかがかと思います。ちなみに私はインマニのスロットル接続部には耐熱液体パッキン塗っています(リーク防止のため)。

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  8. 全然違う話ですが、もし原因が分かればご教示いただきたいのです。
    F6(走行3万キロ余り)ですが、セルは勢いよく回るのに、エンジンが掛からないという症状です。一回はツーリングに出る前の準備中に。もう一回はそのツーリング先で。後者はエンジンを切って20分くらい休憩した後、エンジンは十分温まっている中、掛かりませんでした。それぞれ、少し放っておいたら何事もなく始動し、数百キロの帰路でも再発せず今日に至ります。
    感覚的なものですが、セルの回転音に伴い、空転するエンジンの音がなんとなくスカスカした印象でしたので火花が飛んでいるのか? と思ったことを覚えています。
    天気は雨天ではなく、雨によるリークではないです。プラグとプラグコードは新品でに換えてからそう時間は経っておらず、先日も点検したところ、焼けに問題ありませんでした。
    エンジンスタートはエンジンキーをオンにしてから、各チェックランプが消灯するまで待ち、セルを回すようにしています。
    いつかまた再発するのではと不安に思っていますが、何か見当がつきますでしょうか。
    よろしくお願いいたします。

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  9. ツーリングの出先で何度か同じ現象になったことがあります。今でも稀になります。その時はキーを切って10秒ほど放置してやり直すと何事もなかったかのように復活しますので特に気にせず今でも放置してあります。排気カムの先っちょについているオートデコンプが悪さしているとか、オープン制御のIAC初期化に失敗していると言う情報も見たことありますが真相はわかりません。個人的にはIAC初期化失敗が濃厚じゃないかと思っています(ちなみにG6にも同じ症状あります)。

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  10. やっぱり、伺って良かったです。結構ある症状なんですね。
    僕の個体だけかと思って、不安になっていました。
    また、対応策までお知らせいただき、ありがとうございます。
    相手は電子部品ですから、セルスタートの儀式を守っていても、気まぐれもあるでしょう。これからは、安心して? 不調に対応したいと思います。
    ありがとうございました。

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  11. これは、クラッチに関する私からの情報提供ですが、1速から2速に入れる時に、「ガリ・ガチャ」っと少々ギヤ鳴りするという症状がありました。クラッチの切れが悪いと思い、柔らかいエンジンオイルを使ったりしましたが、1速をウロウロしてから2速に入れるとほぼ発生するので、クラッチハウジングの段付き摩耗を疑って分解してみました。
    結論から言うと、クラッチプレート側も段付き摩耗の傾向は少々ありましたが、思った程ではなく、一方メタルプレート側の方は、どういったらいいのか、プレートの「歯」の先端部分がインナーハウジングの各歯の根本部分に食い込んで引っかかっているような痕跡が見られました。そこで、全部のメタルプレートの全部の「歯」の先端部分をルーターで削って丸め、点ではなく線で当たるような加工をしました。
    これにより、10w-40のオイルでも相当軽減され、一応完了としています。
    貴殿のFはこんな症状はありましたか。


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  12. 貴重な情報ありがとうございます。自分のF6もクラッチの切れはメチャクチャ悪いです(G6はスパスパ切れる)。ですがどちらも特に低いギアのシフトショックは大きいです。うまく回転を合わせないと歯が割れるんじゃないかと思うほど大きな音がします。F6はカフェオレになった時クラッチ周りもオーバーホールしましたが、インナーハウジングはさほどでもなかったのですが、アウターハウジングはエラい事になっていました。
    https://ytakemc.blogspot.com/2018/03/bmw-f650gs_11.html
    アウターハウジングの段付きはヤスリで削り落として平にしまして、少々改善した感じでしたが劇的とまでは行きませんでした。自機はクラッチハウジングのベアリングに少々ガタがありましたので、少し偏心しているのかなぁと思っています。そこの修理は専用工具が居るので放置しています。現在9万キロ超えているので、そろそろスペアンジン(CSのエンジン)に載せ替えようかと思っている今日このごろです。

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  13. やはり、クラッチは切れませんよね。9万キロでこれくらいの段付き摩耗というのはとても参考になりました。また、この段を取っても少々の改善なんですね。考えさせられます。
    ヤクオクに「F650GS ダカール 純正クラッチセット」として中古が出品されていますね。最後の写真にあるように、クラッチプレート(ライニングプレート)の8枚を合わせた厚さは、28㎜あるとのことです(リペアマニュアルによると限度値は27.5㎜)。新品の厚さが分からないので厚さ的に良品かどうかはわかりませんが、ハウジングの方は比較的段付き摩耗は少ないようです。もしかしてハウジングが必要な方にはお買い得かもしれません。
    また、私は、シフトレバーの取り付け角度を一番下になるようにしています。レバーが上向きだと強く素早くシフトアップできないからです。見た感じは「こんなに下がっていていいの?」ですが、躊躇なく掻き上げることができます。
    それから、クラッチ修正後の当たりつけとして、クラッチレバーを握った状態で、何度も空ぶかしをしました。今でも、信号待ち時などにしています。つまり、クラッチが切れている位置で段つけ(癖つけ)をしているということです。
    修正直後よりもこれをしてからの方がギヤ鳴りが減少しました。

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