夏のツーを控えて、以前から気になっていた部分のメンテナンスをします。
リアのスイングアーム、ピボットです。
リアサスペンションのリンク周りは何度かメンテしているのですが、ここはほったらかしでした。さてどうなっているのでしょう…
スプロケカバー外します
チェーンカバーも外します
アクスルナットを外し
アクスルを抜きます
落下すると危ないのでスプロケットをすぐに外します
ホイルが外れました
ブレーキラインのクランプを外し
ここも外します
リアサスリンクのセンターボルトを外します
取れました
ココ外すとスイングアームは落下しますので手で支えて。
21ミリと22ミリのソケット
左は22ミリ
右は21ミリ
ピボットシャフトを叩き出します
抜けてきました
スイングアーム陥落
左はまあまあ想像の範囲内
右は…え?
ええええ…
きゃー
なんでつかこれは…
ベアリングは錆びてグズグズ
一部、ベアリングが折れています。
グシャグシャってのはこういうのを言うのでしょうね
右側ベアリングリテーナーは跡形もなくなっています。
左側です
本来はこういう姿をしています。
あぅ…
左のベアリングはメンテすれば再生できそうですが、右は完全にアウトです。このバイク、2オーナー物ですが、前のオーナーは恐らく、チェーン周りを清掃するのに高水圧洗車かなんかやったんじゃないでしょうか。F650GSはベアリングシールが貧弱なので高水圧洗車などしたらイチコロです。こういうところは外見ではナカナカ分からないので定期的なメンテナンスが必要です。
根性で、
抜きました
暫くそのまま立ってなさい
ニードルベアリングはHK型、22x28x16という規格品です。ディーラーで高価な純正部品をオーダしてもいいのですが、ここは一つジェネリック部品で行きます。日本製のベアリングが悪いはず有りませんので。NTN製HK2216が合致するはずです。なんとモノタローで調達可能。問題は錆びたブッシュだなぁ、これ結構いい値段します。
ニードルベアリング、HK型というのはオープンエンドタイプ(ベアリングの両側がOPEN)で、このピボットにはこれを使います(BKだと片側が閉じていますのでシャフトが通りません)。
HK型には、末尾サフィックスなし、-L、-LLというのがあります。
-Lは、片側にシールが入っています。
-LLは、両側にシールが入っています。
水混入でベアリングが逝った事を思うとシール付きにしたいところですが、既定の幅(ここの場合16ミリ)にシールを入れるということは、ローラーベアリングの幅寸法が短くなるということを意味しているわけで、それに伴いベアリングの性能(耐荷重)が減少してゆきます。
HK2216:1340KG(動荷重)/2150KG(静荷重)
HK2216LL:995KG(動荷重)/1460KG(静荷重)
※ 残念なことにHK2216には片シールタイプ(-L)はないらしい…
ちなみに、F6エンジントルクは60N/m(≒6.12kgf/m)、スプロケφは約80㎜、チェンにかかる荷重はメートルで換算すると、エンジントルクの約25倍。
さらに、一次減速比1.946、ギア1速減速比2.75で、トータル132倍の荷重がかかる勘定。つまり、エンジン駆動からの荷重は約800kgfがかかる勘定。スイングアームは両持ちですが、エンジントルクのほとんどは右のピボットにかかるでしょう。で、そこでベアリング2個で受けているわけなので、一個当たり約400kgf…余裕…?
いえいえ、ピボットにかかる荷重はブレーキング荷重のほうがはるかに大きいです。通常はタイヤと路面の摩擦からくるもの以上の荷重はかかりませんが、タイヤが何かに引っかかればはるかに大きな荷重がかかるでしょう。さらには、上下方向にも荷重がかかります。サスが底付きした時の荷重は衝撃的でしょう(計算できるものではない)。
つまり、ピボット部の耐荷重マージンを落とすような変更はしないほうが良い…ということになります。どうしてもシールつけたい…ならば、ベアリングの幅を広げたほうがいいかもしれません。F6のピボット部には一か所あたり2つのベアリングが使われていますが、その2つのベアリング間は空洞です(1センチ程隙間あり)。おそらく幅を少々広げても何の影響もないと思われます。
HK2218-Lという片シール型ベアリングがあります。
幅は2ミリ長いだけで、片側がシールされており、耐荷重スペックも幅16ミリのシールなしとほぼ同等です。F6ピボットは一か所あたり2個使いなので、内側はシールしてある必要がありません。もしかすると、リプレースするのであればこれを使うのが得策かもしれません。純正品が16ミリ幅なのは他との共通化が理由ではないかなと思われます(リアサスのリンクの中にも同じものが使われていますし)。
届きました!
モノタローで部品発見、注文翌日到着、早っ。
NTNのHK2216、一個303円也
純正と同じシール無しにしました。
寺で純正頼んだら…
海外価格で$10弱なので、一個1000円は下らない感じ。
問題は…これをどうやって打ち込むか…です。
ハンマーで叩いてはいけませんよとNTNのHPに書いてある。
正しくはマンドレルというジグを使って圧入するらしい。
F6のサービスマニュアルにはピボットを約100度に温めて専用ジグで圧入しろと書いてある。
一般的にはベアリングを冷凍庫でキンキンに冷やして圧入すると楽だと書いてある(が、ピボット側との熱容量差から、小さいベアリングは一瞬で温まってしまうのでモタモタしているとスタックしてしまうらしい)。
ベアリングとスイングアームを工場持ち込んで入れてくれというオプションも無いではない(工賃はかかるが)。
さぁて、どうしたもんだか。
ガスケット
来ました、ガスケット。4つで1,000円ってどうよ…
ここ、ピボットがエンジンに接触しているので、カナリ高温になるんですよね。
こういう場所にこういう材料使わないと思うんだが…
バラします
先週林道行くために一旦組んだのですが、ガスケットが届いたのでまたバラして組み込みます。
今はこいつだけで守っています
やっぱり
いろいろ入り込んでる
ふえぇ
やはりここはエンジンの熱が直接伝わるので、高速回転用リチウムグリスでは流れてしまいます。
リチウムグリスを洗い流します
やはりここは高耐圧、高耐熱アンチシーズかな
グリグリ擦り込みます
ガスケット入れてさらに塗りこみます
こっちも
こんだけやっとけばそう簡単には水は入らないでしょう。
こんばんは。今度私もチェックしてみます。
返信削除これだけ酷くなっていても全く兆候が無いので、定期的に開けてみるしかないようです。まるで膵臓がんのような病です。
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