実は、昨年の北海道ツー途中に高速をタンデムでぶっ飛ばしていたら右シリンダーヘッドからオイルがブローアウト。シリンダーヘッドとシリンダーの間から噴き出しているのは一目瞭然でした。それ以来右シリンダーはずっとおしめ生活、減った分だけオイルをつぎ足しながらこの一年近く走ってきました。しかしこんないい加減な乗り方をいつまでも続けているわけにはいきません。これから暖かくなればおしめしたままではオーバーヒートしてしまいます。GWツー前にきっちり直すことにしました。
※ 実はこの時100%化学合成オイルを使っていました。どうやらこれ古いボクサーエンジンには鬼門なんだそうです。粒子径の大きい固めの鉱物油が良いと言うことを教わりましたので、それ以来Valvolineの20w-50を使っています。1ダースで買えば結構安いですね。
右シリンダーはいつもタオルまき。。。
左のEXバルブ、焼杉
右のEXバルブ、焼杉
切断!
おそらくこのエキパイ、16年間一度も外された事ないのでは?と言う位に固着していました。最後はカナ鋸でバンド切断!
ふぅぅぅぅ。。。難儀な作業だ。排気周りは銅グリスくらい塗っておいてほしいな。
ヘッドカバーをポン
※ このページを参照して作業される方がいらっしゃるようなので、大事な記載漏れを追記しておきます。写真にはありませんが、次のカムスプロケット取り外し作業前に、必ずチェーンテンショナー(のプッシュロドとスプリング)を開放しておきます。右シリンダーであれば緩めると下に落ちますので比較的簡単。要注意なのは左シリンダー。チェーンテンショナーの開放を、カムチェーンスプロケットを外す前に行います。逆の順で作業しますと、下手をするとカムチェーンのプッシュロッドがクランクケース内に落下する恐れがあります。
カムシャフトスプロケット解放
タイラップします!(重要)
オイルヘッドのヘッド下ろしでここが一番要の作業。タイミングチェーンとスプロケットの歯がずれないように、また内部への落下防止を兼ねて針金もしくはタイラップなどでしばいておきます。カムは圧縮上死点でしばかないと大変なことになります。
ゴロン、ヘッド陥落。
タイミングスプロケットさえカムシャフトから開放すれば、あとは必要なボルトを外すだけでヘッドは陥落します。ただし状態によってはガスケットが張り付いているかも。ガスケット再利用は無理と思ってください(てか、そのガスケットを交換するのですけどね・・)
オイルヘッド!
オイルヘッドの所以。シリンダー前側のシャフト内をオイルが走っていますので、ヘッドを抜くとオイルがダラダラ流れてきます。このオイルはカムやバルブを潤滑するという役目もありますが、もう一つ、シリンダーヘッド内の排気口上下を通り抜けるときに排気熱をオイルで奪って、オイルクーラーへ導き冷やすと言う重要な役目を負っています。ゆえにオイルヘッド・・鈴木さんちだと油冷とか言ってるやつですね。
さーて修復
シリンダーチェック
シリンダー内側、エキパイ近くには漏れたオイルが回り込んで固着していましたのでそぎ落としました。これと言った傷もなくホーニングの跡もまだ残っていましたので、シリンダーはこれ以上触らずに放置としました。ちなみにシリンダーやピストンに用がないのであればシリンダーは抜かないほうが吉です。シリンダーはエンジンブロックへ液体パッキンで張り付いています。さらにピストンを抜くとピストンリングをシリンダーへ押し込む際にえらい苦労する羽目になります。ガチャガチャやると傷だらけになります。
組む方はバラすより楽
組み立ては固着して外れないとかそういう不確定要素がありませんのできちんと作業するだけです。そうきちんと。今日のこの日のためにトルクレンチを準備しました。大昔ですが、ホンダのタンころのカムスプロケットをいい加減に締めて、走行中にスプロケットが外れると言うとんでもなく痛い思いをしたことがありますので・・
ガスケット!!
こればかりは要の部品ですので、変なものを使うのは怖いですから大森FLATへ行って正規部品を取り寄せてもらいました。実はR1100のヘッドガスケットはしょっちゅうマイナーチェンジやら問題対策がなされていて何種類もあるんです。そして組み立て前にとにかく、シリンダーとヘッドの合わせ面をきれいにすることです。これをいい加減にやるとまたオイルが噴出してきます。
※ 後日談。ガスケットは、1997年4月以降製造機からマルチレイヤーメタルな物に変更されたようです。メタルレイヤーメタルだと張り付いたり敗れたりしないで、再利用できるのかなぁ。
ハイ終わり
あ?あちゃ~
実は、右シリンダーヘッド、エキパイ固定ボルト3本のうち一本はエキパイを抜く際に途中から逝ってしまいました。ここは熱はかかるわ雨風に晒されるわで一番きつい場所です。長年の風雨でボルトはすっかり腐食していたのでした。この機種そういう事故はあるものらしく修復用のスタッドを売っていたりします。ただし交換は結構な大作業みたいです。とりあえず二本でもエキパイは取り付くようだし、排気漏れもしなかったので、放置!プレイとしました。いつか綺麗にしてあげたい・・
オイル漏れは治りましたが、一年オイル漏れにさらしたのでひどいことになってます。
※ カムチェーントンネルの真下に付いているでかいボルトの蓋が、カムチェーンテンショナーのプッシュロッド格納部です。右シリンダーはトンネルの下についていますが、左シリンダーは上についています。ここの中の部品(プッシュロッド、スプリング)はテンショナーレールと蓋のボルトの間に挟まってレールを押しているだけですので、左シリンダーの場合、スプロケットを外してレールをフリーにしてしまうと中へ落下…というわけです。
※ カムチェーントンネルの真下に付いているでかいボルトの蓋が、カムチェーンテンショナーのプッシュロッド格納部です。右シリンダーはトンネルの下についていますが、左シリンダーは上についています。ここの中の部品(プッシュロッド、スプリング)はテンショナーレールと蓋のボルトの間に挟まってレールを押しているだけですので、左シリンダーの場合、スプロケットを外してレールをフリーにしてしまうと中へ落下…というわけです。
試乗
そらぁ、長距離走る前に様子を見ておかなければなりませんでしょう。もう夕暮れでしたが、サクッと鴨川まで往復してきました。
漏れていません!完璧です(たぶん・・)